<実験1>チタンの量が少ないほうがポリエチレングリコールの割合が多くなるため(だからといってチタンが少なすぎるとポリエチレングリコールが煤となって残る上焼結しにくくなる。)
より多孔質化し、色素の吸着量が増える。つまり吸着量がXn(nは整数)となるときに極大値なり、1/2Xnとなるときに極小値になる。
そしてこのXは無論大きいほうが良いがはおそらく使う酸化チタンやペーストの作成法、また色素の大きさによって変わる。
Iは吸着した色素の量により決定し、多いほうがより励起電子が増えIが大きくなる事から極大値が3g、6gの時に出来ていると予想される。
グラフの傾きがIを縦軸にとる方が大きいのはXnの時はチタニアの欠損が少ないためRは小さいが、
1/2Xnに近くなる程欠損が増えよりRが大きくなり、このRによりVがオームの法則により決定されるからだ。
つまりIの傾き程Vは大きくならないのだ。
<実験2>ポリエチレングリコール#200のほうが#400より小さいから色素の吸着の量の関係で極大値の間隔が広くなる。
また同量の時には#200の方の量が多いいためペーストがより多孔質化して再結合数が減るため、またぢ色素吸着量が多いためIが大きくなる。
そのためVも大きくなる。V、Iの傾きの違いなどの理由は実験1の場合と同じである。
<実験3>ペーストが50μmの厚さでさえ透明でない事からすると光を吸収して励起している色素はもっと上層部の所にあり
その層の厚さはペーストが厚くなっても同じといえるが、厚くなる分、再結合がしやすくなりRが増えるため、また光の散乱により、
Iの大きさは厚さと共に減る。V、Iでの傾きの大きさの違う理由は実験1の時と同じだと考えられる。
<実験4>300℃位では焼結を行う活性化エネルギーに満たず、400度位から焼結が行われるのであろう。
グラフを見ると温度より時間の与える要因の方が大きいがそれはおそらく焼結が行われる速度に限界が生じているためだ。
そのため400℃以降のV、Iはあまり変化がない。
<実験5>酸化チタンの焼付けは焼結によって行われるがそれは表面エネルギーが減少して密度が増し(収縮して)結合するという物だ。
グラフを見ると焼き時間が80分のときでさえ相対密度が100%になっているか怪しい事がわかる。無論密度が高い方と再結合中心が少なくなる上、
Rが減るためにIの量は増えるが焼き時20分で相対密度が80%はあると思われるので、
焼き時間でそんなに差はないし吸着率も差がそんなにないためV、Iでの傾きの差は小さい。
今回電圧は結構低めだがこれはI、Rに左右されているだけでない。おそらく電解質の酸化還元のエネルギー準位が低いか、 色素が酸化チタンの伝道帯のエネルギー準位の高い(−だから実は低い)所まで電子を励起できずにいるためだ。 これは無論光の強さとも関係していて今回は太陽光を使っていないので励起を十分にさせられなかったとも考えられる。
酸化チタンの量が多いと表面エネルギーを減少させる方向に酸化チタンが行きにくいため収縮率の低いままで残ってしまい 結果ボロボロと崩れるのだと考えられる。 またペーストが厚すぎてもポリエチレングリコールが燃焼しきれずに残り収縮率が上がらず崩れてしまうと考えられる。
以上の事より現時点で最高の出力を出す太陽電池を作成し性能を測った所、エネルギー変換効率は1%となった。
・酸化チタンを加える量とV、IはXn、1/2Xn毎に極大値、極小値を作る。
・ポリエチレングリコール#200の方がチタニアを多孔質にするためV、I共に高くなる。
・ペーストはある程度薄いほうが再結合中心、Rが減りV、Iが高くなる。
・焼結をさせるにはある程度の高温(600℃位)で長時間(75分位)加熱しないと相対密度が高くならない。
・電圧が低いのはI、Rだけでなく光の強さやエネルギー準位の高さも関係している。
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