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《考察》

 実験1より基本的には温度が高いほうが反応は速くなるようである。ただし28℃から温度を上げる と再び反応時間が遅くなり36℃でまた早くなり始めている。それは、この反応は色が変わるまでにい くつかの反応が起きているが、それらの反応には温度上昇による反応時間の変化の割合が違うためであ ると思われる。また、実験2では濃度が濃ければ濃いほど反応が速くなったので、濃度が濃いほど反応 が速くなると思われる。

《反応理由》

亜硫酸水素イオンは、次の@の様にヨウ素酸イオンを還元する。

IO3- + 3HSO3- → I- + 3SO42- + 3H+・・・@

ヨウ素イオンが溶液中に発生すると、下のAの様な反応が起きる。

5I- + IO3- + 6H+ → 3I2 + 3H2O・・・A

ここで発生したヨウ素が有色であり、さらに溶液中のデンプンと反応するため、溶液に色がつく。ただ し、@の反応で使われなかった亜硫酸水素イオンがあると下のBの様な反応が起きる。

I2 + HSO3- + H2O → 2I- + SO42- + 3H+・・・B

Bの反応が起きると、ヨウ素になった物が再びヨウ素イオンになってしまうため、色はつかなくなる。 つまり、この反応は亜硫酸水素イオンがなくなった時に色が変わることになる。 また、この溶液中にアルカリ性の液体(つまり水酸化物イオンが含まれている)を加えると下のCの様 な反応が起きる。

H+ + OH- → H2O・・・C

この反応は、Aよりも優先して起きるため、ここでAで使われるはずの水素イオンが全て使われてしま うと、Aの反応が起きず、色も変わらない。

《結論》

 時計反応は、温度が高くなると反応が速くなり、濃度が濃くなると、反応が速くなる。ただし、温度 の場合は一時的に反応が遅くなる温度があり、実験した範囲内では濃度が濃くなれば反応が速くなる が、さらに濃度を濃くすると反応時間が遅くなることが予想される。

《参考文献》

『教師のための化学実験 ケミカルデモンストレーション6 振動反応と時計反応』 池本 勲 訳 丸善株式会社 1998年発行


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